【事例】規制のサンドボックス制度は実際どんな事業に使われているのか?

2020年02月28日

この記事のポイント

  1. どんな、新技術やビジネスモデルを考える企業が、規制のサンドボックス制度を使っているかの事例が分かる

はじめに

以前、Pnikaでは新規事業を進める企業が、政府お墨付きの「実証」によって規制の見直しを促すことができる「新技術等実証制度(プロジェクト型サンドボックス)」についてご紹介しました。
※制度の概要や流れの詳細は、ぜひ下記ページをご覧ください。
"新規事業を「実証」してから規制制度の見直しを促すことができる!|1からわかる「規制のサンドボックス制度」"
今回は規制のサンドボックス制度が、「具体的に”どんな企業が、どんな事業で”この制度を活用しているのか」、を見て行きたいと思います。

認定プロジェクトは、14プロジェクト

規制のサンドボックス制度は、2018年6月6日に施行された「生産性向上特別措置法」の目玉の一つとして開始され、本記事の執筆(2020年2月28日)時点で、14つのプロジェクトが規制官庁の認定を受けました。

ひとつずつ見ていきましょう。
■IoT
1)IoT 社会の実現に向けた高速 PLC(電力線通信)でつながる家庭用機器に関する実証
・実証企業:パナソニック株式会社
・関係法令:電気用品安全法、電気用品の技術上の基準を定める省令

2)IoTを用いた次世代型 広域リサイクルの実証
・実証企業:株式会社エンビプロ・ホールディングス、株式会社しんえこ
・関係法令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律

■ヘルスケア
3)診断キットとビデオ通話を組み合わせたインフルエンザ罹患時のオンライン受診勧奨
・実証企業:株式会社 MICIN
・関係法令:医師法、・医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、オンライン診療の適切な実施に関する指針

4)ブロックチェーン技術を用いた臨床データのモニタリングシステムに関する実証
・実証企業:サスメド株式会社
・関係法令:医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令

5)生体認証を用いた本人意思に基づく救急医療の実証
・実証企業:株式会社Kitahara Medical Strategies International、医療法人社団KNI
・関係法令:医療法、個人情報の保護に関する法律

■金融
6)仮想通貨と法定通貨を同時決済可能なプロ向けの決済プラットフォームの構築
・実証企業:株式会社 Crypto Garage
・関係法令:資金決済に関する法律、金融庁 事務ガイドライン(仮想通貨交換業者関係)

7)万が一の際には助け合う大規模P2P特約の実証
・実証企業:株式会社justInCase
・関係法令:保険業法

8)個人が少額を拠出し合って相互扶助するP2P保険に関する実証
・実施企業:Frich株式会社アイアル少額短期保険株式会社、ジャパン少額短期保険株式会社
・関係法令:保険業法

■本人認証(なりすまし防止)
9)なりすましによる不正な口座開設の防止に関する実証
・実証企業:株式会社カウリス、株式会社セブン銀行、関西電力株式会社
・関係法令:電気事業法、個人情報の保護に関する法律

■不動産賃借
10)不動産の賃貸契約時における書面交付の電子化に関する実証
・実証企業:国土交通省が登録した宅地建物取引業者【113者】
・関係法令:宅地建物取引業法

■モビリティ
11)キャンピングカーの「空間」の活用に関する実証
・実証企業:株式会社DADA
・関係法令:旅館業法

12)電動キックボードのシェアリング事業の実施に向けた走行実証①
・実証企業:株式会社mobby ride
・関係法令:道路交通法、道路運送車両法

13)電動キックボードのシェアリング事業の実施に向けた走行実証②
・実証企業:株式会社 Luup
・関係法令:道路交通法、道路運送車両法

14)人力と電動モードを切替可能なハイブリッドバイクの自転車レーン走行実証
・実証企業:glafit株式会社、和歌山市長
・関係法令:道路交通法、道路運送車両法

"規制のサンドボックス制度(成長戦略ポータルサイト)"

すでに事業化に至ったケースも出ている

規制のサンドボックス制度で、「実証」を経て、実際の「事業化」に進んだ事例も出ています。

「規制のサンドボックス制度」認定プロジェクトが 初の事業化
"J-Startup企業の株式会社カウリス(以下、カウリス)と関西電力株式会社(以下、関西電力)は、10月21日に、電力設備情報を活用した不正口座の開設等防止サービスに関する業務提携契約を締結し、同サービスを開始することを発表しました。"

まとめ

今回は、実際に規制のサンドボックス制度の事例を見ていきました。「どのようなことに制度が使われているか?」を知れば、自身の事業での活用イメージも湧きやすくなるため、規制のサンドボックス制度に限らず、分かりにくいと感じた制度はその事例を覗いてみると理解が深まるかもしれません。

(執筆:深山 周作)

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◆参考文献

  1. 新規事業を「実証」してから規制制度の見直しを促すことができる!|1からわかる「規制のサンドボックス制度」
  2. 規制のサンドボックス制度(成長戦略ポータルサイト)
  3. 「規制のサンドボックス制度」認定プロジェクトが 初の事業化(J-Startup)


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