【3分で理解する】法律が出来るまでのプロセスをおさらいする

2020年03月27日

 ※本記事の最新版は、筆者の運営する別媒体(Publingual)で更新しています。
https://publingual.jp/archives/59571

この記事のポイント

  • 法律の『原案作成』から『交付』されるまで、どのようなプロセスがあるのか3分で理解出来ます。

法律のつくり方は大きく2通りがある?

私たちの生活やビジネスにおいて、秩序を保つためのルールである法律。一方、「どのように法律が出来るか」をスラスラと話せる方は少ないのではないでしょうか。

Pnikaでは、ルールメイキングについて取り上げてきましたが、今回はその上で予備知識となる法律が出来るまでのプロセスの基本的な流れをおさらいしていきたいと思います。
それでは、法律が出来るプロセスを見ていきましょう。

ステップ1.法律案をつくる

法律は案をつくるところから始まります。この際に「どこが法律をつくるか?」ということでプロセスが少し変わります。
その『どこが』という主体者には2通りあります。それが、国会議員が法案をつくる「議員立法案」と、内閣が法案をつくる「内閣提出法案(閣法)」です。

■内閣提出法案(閣法)
内閣が提出する法律案の原案の作成は、それを所管する各省庁において行われます。

まず、各省庁は所管行政の施策目標を実現するために、必要に応じて新たな法律の制定又は既存の法律の改正若しくは廃止の方針を決めて、法律案の第一次案を作成します。

この第一次案を基に関係する省庁との意見調整等が行われます。更に、審議会に対する諮問又は公聴会における意見聴取等を必要とする場合もあります。
そして、法律案提出の見通しがつくと、提出用の原案を作成します。

この原案に、内閣法制局による予備審査が行われ、現行法との整合性や立法内容に妥当性があるか等をチェックし、内閣官房を通じて閣議決定されることで国会に提出がされます。

ちなみに日本においては、大多数がこの内閣提出法案で、その成立率も2009年~2018年では、約81.5%(808法案中659法案が可決)と非常に高いものとなります。

■議員立法
議員立法は、衆議院では20名以上、参議院では10名以上の賛成がないと提案することができないこととされています。また、予算を伴う場合はそれぞれ50名、20名以上の賛成が必要となります(国会法56条)。
※衆議院においては、議員の所属する会派の機関承認がない場合、法案の発議は受理していない。

ステップ2.国会で審議する

衆議院と参議院のそれぞれに提出された法案について審議していきます。
大きくは下記の4ステップです。

■衆議院に出された法案の場合
  1. 衆議院の委員会で話し合い・採決
  2. 衆議院の本会議で採決
  3. 参議院の委員会で話し合い・採決
  4. 参議院の本会議で採決
※参議院に提出された場合は、参議院内で先に審議されるため、”1・2”と”3・4”の順序は逆になります。

ここで出てくる「委員会」とは10人〜50人ほどの少人数で行う会議で、「本会議」とは、その院の議員全員で行う会議となります。簡単に言ってしまえば、「まず、少人数で詰めちゃってから、みんなで確認した方がが早いよね」という感じです。

ステップ3.法律が成立する

審議の結果、衆議院と参議院のいずれでも可決されれば、そこで法律が成立します。

■もし、片方の院が否決した場合はどうなるの?
これには3パターンがあります。
まず、1つ目は「衆議院は可決したが、参議院は否決した場合」です。

この場合は、参議院否決後にもう一度衆議院に送り返され、そこで3分の2以上が賛成をすれば「可決」になります。3分の2以下であれば否決です。

2つ目は、「参議院で可決したが、衆議院で否決した場合」は、「否決」になります。

最後の3つ目は、「先に審議した方(衆でも参でも)が否決した場合」で、この場合はその時点で廃案となり、次の院には送られません。

■審議中に国会の会期が終わることもある?
国会には会期があり、話し合える時間は限られているため、後半から審議を始めた法案であれば、最終結論がその会期中に間に合わないことも多々あります。

基本的に、最終結果が出ないまま会期が終われば、その法案は廃止となりますが、「会期延長」や「継続審議」といった手段が取られることもあります。

ステップ4.法律が公布、施行される

法律は、「法律の成立後、後議院の議長から内閣を経由して奏上された日から30日以内に公布されなければならない」となっています。法律の公布に当たっては、公布のための閣議決定を経た上、官報に掲載されることによって行われます。

「公布」は、成立した法律を一般に周知させて、法律が現実に発効し、作用するための「広報活動」を指します。また、法律の効力が一般的、現実的に発動し、作用することになることを「施行」といい、公布された法律がいつから施行されるかについては、通常、その法律(の附則)で定められています。 

まとめ

ポイントをおさらいします。
  • 法律は、①法律案をつくる②国会で審議する③法律が成立する④法律が公布、施行される、というプロセスで出来る。
  • 法律案には、「議員立法案」と、内閣が作る「内閣提出法案」がある。
  • 成立する法律案の大多数は、「内閣提出法案」である。

今回は、法律が成立するまでのプロセスをおさらいしてみました。
いかがでしたでしょうか。

次回以降で、国会のスケジュールやどのように民間から意見を差し込むのかについても触れていきたいと思います。

(執筆:深山 周作)

◆本記事に興味を持ってくださった方へ

Pnikaでは、弁護士や制度設計のコンサルタントといったメンバーの所属する専門性のあるチーム体制で、イノベーターのルールの悩みに伴走をしています。イノベーターはもちろん、ルールメイキングに興味のある方のご登録やご連絡をお待ちしています。
詳細はこちら(リンク)をご覧いただければ幸いです!

◆参考文献

  1. 法律の原案作成から法律の公布まで(法制局)


最新記事