台湾発の合意形成プロセスを学ぶワークショップ@霞ヶ関・鎌倉を開催(後編その1)〔イベント〕

後半は、2日間とも、台湾のプロセスをもとにアレンジしたワークショップを開催しました。後編その1では、Day1霞ヶ関についてレポートします。
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今回重視したのは、マルチステークホルダーで、継続した対話のスタート地点として、さまざまな意見をベースにした議論を行なうこと(インストラクションシート)。

Step1では、課題マインドマップを作成します。まず事前にPol.is などで集めた意見カードでどのような意見がでているのかを確認し、似た意見をグルーピングし、課題として整理します。次に、それぞれの課題に対し、考えうるソリューション、バリアを書き出します。最後に、掘り下げたい課題、コアプロブレムとソリューションを選びます。

Step2では、ステークホルダーを整理します。選んだコアプロブレムとソリューションに対し、関連するステークホルダーを書き出し、各ステークホルダーにどのようなメリット、デメリットがあるかを考えます。

Step3では、ネクストアクションの整理として、各ステークホルダーがとりうるネクストアクションを書き出します。 ワークショップのインストラクションののち、テーマについての事前インプットということで、プロポーザルをテーマオーナーにお願いしました。

プロポーザル:内閣官房の川村尚永さんより「デジタルトランスフォーメーション時代の本人確認」(プレゼンテーションシート)。

川村さんは、法人設立オンラインワンストップサービスの制度設計に携わるなか、デジタルの本人確認について、専門家や関係業界ではない、普通の人々はどう考えているのか聞いてみたいとのご関心により、今回ご協力いただくことになりました。

・本人確認とは、顧客等(自然人・法人)の本人得的事項を確認すること、つまり当事者を特定すること。書面での本人確認では、印影と印鑑証明によって、本人意思による行為と確認される。電子署名も同様に、電子署名+電子証明書により確認される。

・偽造リスクと盗難リスクは、書面でも電子でも双方にある。

・今なぜ本人確認手法が問われるのかという背景には、デジタルトランスフォーメーションによる行政の効率化という時代の要請に加え、マネーロンダリング対策という国際的な要請がある。日本は、マネーロンダリング対策機関であるFATF(Financial Action Task Force)の勧告について、2008年の第三次審査で厳しい指摘がされ、それを踏まえた対応がこれまで行われているが、今年第四次審査が予定されている。

以上を前提知識として整理していただいたうえで、グループごとに、デジタルトランスフォーメーション時代の本人確認はどうあるべきか、デジタル化をすすめるうえでの課題はなにかの議論するワークがスタート。

ワーク:

グループ発表:

<グループ1>

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グループ1は、コアプロブレムを「UXが」、「エンドユーザ視点でのシステム開発」をソリューションとして、取り上げました。制度設計のアジャイル化ということで、「自分ごと化」、「声をひろう・声をだす」、「仕組みから変える必要性」から、vTaiwanが必要だという結論にいたったとのこと。

<グループ2>


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グループ2は、コアプロブレムを「制度の前提がアナログ」それを無理やりデジタルにしようとしているから、「オンラインの方が不便になってしまっている」、ソリューションを「デジタル完結できるように制度・ワークフローに変える」。各ステークホルダーのネクストアクションとして、市民はマイナンバー取得、行政はICリーダー配布、企業はワークフロー整備(社員教育や働き方改革も必要)、政治は法整備、マスコミは協力的な報道を挙げました。

<グループ3>


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グループ3は、「スイッチングコスト」「紙を前提とした事務フロー」をコアプロブレムとし、「印鑑のデジタル化」をソリューションに。ネクストアクションとして、政府は「ばらばらの行政フローの標準化の旗振り」を、民間事業者は「印鑑自体のセキュリティ向上を担う」。スイッチングコストとして、短期的な支出はあるが、長期的にはコストがさがるという前提で決断できるとの判断を示しました。

<グループ4>


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グループ4は、コアプロブレムを「ユーザー・国民の不信感」、ソリューションを、信頼性を積み上げていくための「ひもづけ範囲の選択制」。ダイレクトなプレーヤーになってくるのが、電気ガス、医療機関、学校などの公共サービス。ネガティブなセキュリティだけでなく、ポジティブな利便性について国民やメディア含め議論をしていく環境が、突破口になってくるのでは?とのアイデアを提示しました。

<グループ5>


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グループ5は、コアブロブレムを「ユーザー目線でメリットがみえにくい」、ソリューションは「メリットデメリットの可視化」。デジタルへの移行にあたり、本人確認はそう頻繁にするものではないので、絶対オンライン化というモチベーションがわきにくく、行政や民間といったステークホルダーのインセンティブのシステムをどう作っていくかというところにハードルがある。使って広まっていくことに対して、どこまで各ステークホルダーの面倒くささを下げられるかに尽きるとまとめました。

<グループ6>


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グループ6は、コアプロブレムを「デジタル化によって社会がどう変わるのかは誰にも見えない」、ソリューションを「行政のトライ&エラーを応援する」。デジタル化するところ人を介するところ、UIの設計、コーディネイターが必要になってくるので、こういった決断ができる首長による、ローカルでの先行事例をつくっていくという方向性を示しました。

90分という限られた時間のなかで、濃密な議論を展開していただきました。参加者の皆さんのプロセスも含め一緒につくりあげていこうという協力姿勢と、実験的なプロセスを各々でやりきれてしまう力量に、台湾チームのメンバーもとても驚いていました。

繰り返しになりますが、今回のワークショップの目的は、マルチステークホルダーで、継続した対話のスタート地点として、さまざまな意見をベースにした議論を行なうこと。 レポートをまとめていても、議論の結果としてのアウトプットは共有できても、議論の道筋というものはなかなか共有が難しい。より多くの人を巻き込み、議論を積み重ねていくためには、議論の道筋まで含み、アーカイブしていくことが必要。ということで、後日、各グループのファシリテーターにご協力いただき、realtimeboardというツールを使い、議論の道筋の整理にチャレンジしました。(作成したrealtimeboardはこちら(閲覧、修正にはログインが必要です)

<作成したrealtimeboardの一部>(上記のリンクからは全体が確認できます)

 

このツールは、一言でいうなら、無限に広がるオンラインのホワイトボード。ログインすれば複数人での編集が可能です。参加してくださった皆さん、課題の整理、ソリューションへの流れはこうではなかったなというところがあればぜひ修正をお願いします。また参加しなかった皆さん、こういった課題が抜けているのでは?解決策があるのでは?ということがあれば、書き込んでみてください。

各グループのアウトプットが、どういう議論を経て生まれたのかが、ここから読み取れるものなのか?うーん。まだあまり自信がありませんが、同じ議論を繰り返さず、多くの人で議論を積み重ねていくためのデジタルツールを使ったプロセスについて、ここを起点に引き続き模索していきたいと考えています。また、次回ワークショップを企画中ですので、ご意見やアイデアがあればぜひお寄せください。

Day2鎌倉についても、現在、議論のとりまとめを進めていますので、改めてレポートしたいと思います。

(平尾久美子)