ボトムアップで考える私たちのごみゼロ条例案〔イベント〕

2018年10月13日

プラスチックゴミがない世界という未来からのバックキャストでルールを作ってみる。

Pnikaのイベント「法律を作ってみよう」の目的 は「法制度=変えられる」と思う人を増やすこと。社会のルールである法制度をもっと身近なものに感じてほしい。そして、そのルールメイクに関わるためのスキルをみんなで高め、ボトムアップでの法律・条例づくりのハードルを下げていきたい。Pnikaは、そのための場づくりの社会実験として、イベント実施に取り組んでいきたいと考えています。

Vol.01でコラボレーションしたのは、530weekのGenki Nakamuraさん。530weekは、「ゴミを出さない 0 waste なライフスタイル」を送るためのヒントや方法を発信したり、キャンペーンを行ったりすると同時に、プラスチックの削減など企業への啓蒙活動を行っています。

イベントは、まず前提条件となる現状について、Genkiさんのプレゼンテーションによりみんなで共有します。次に私たちに何ができるのかを具体的に考えていくために論点抽出のためのディベートを実施し、フリーディスカッションの時間を設けます。その後、ここまでの議論を整理して、各自で取り組みたい内容を5W1Hに落とし込みます。最後にみんなで条例案づくりにチャレンジ!若干詰め込み気味ではありますが、さてどうなることでしょうか・・・。


STEP1:プラスチック問題の現状、企業、そして多国の取り組みについて情報を共有

−行き場のなくなる廃プラスチック。各国政府と日本の対応の温度感

Genkiさんからの説明を聞くまでは、プラスチックはリサイクルされるのだからいいじゃん、そう私自身考えていました。しかし実は、リサイクルと言っても、素材そのものを利用できるのは、ゴミとして出されるプラスチックのうち27%で、57%は燃料として燃やされ、残りの16%は埋め立てられたりします。※1

今まで世界で一番のゴミの輸入先であった中国は2017年に廃プラスチック含む固形廃棄物の輸入を全面禁止に踏み切りました。行き場を失ったゴミが自国に流れることを恐れたタイやベトナム政府も同様の措置を検討しているとのことです。※2

またプラスチックにまつわる大きな問題としてマイクロプラスチック問題があります。マイクロプラスチックとは、歯磨き粉の中の研磨剤などに使われる極小のものや、紫外線や波で削られ直径5mm 以下になったプラスチックのことです。これらが、海洋生物に甚大な被害を与えており、また、巡り巡って人間の体内にも混入しているとのこと。

これらの動きに対して、各国政府は、そもそものプラスチックの使用自体を規制する法律を作るなど、積極的な施策を行っています。
 例えば、アメリカのシアトルでは、2018年7月に1日に、レストランやカフェ、ほかの食品サービス業での使い捨てプラスチックストローとナイフ、フォーク、スプーンといったカトラリーの使用が2018年7月1日から禁止になりました。※3
 また、「プラスチック製使い捨て容器や食器を禁止する法律」が、フランスで2020年1月1日から施行されることが決定され※4、イギリスでも使い捨てのプラスチック製品が早くとも2019年に禁止されるとのこと※5。この動きは欧州のみでなく、ケニアやインドにまで広まっています。


STEP2: 反対、賛成それぞれの立場から議論をすることで論点を抽出

これらの現状に対し、プラスチックゴミがない世界という未来のために、私たちは何ができるのでしょうか。

プラスチック削減が日本で進まない理由を具体的に考えるため、プラスチックの中でも特に自分たちに身近なペットボトルと、イベント開催場所である渋谷区に焦点を当てて、「渋谷区でペットボトル全面禁止 賛成か反対か」をテーマに六角ディベート※6を行いました。

 

ディベートを行った結果、反対側からは、防災の観点からペットボトルが必要、高精度の焼却炉があれば問題ないのでは?!、ペットボトルを禁止することで輸送コストが上がるなどの意見が出ました。また賛成側からは、次世代への責任や石油資源の有限性などの長期的観点からの意義や、国際社会の中での渋谷の認知度を高めるイメージ戦略としての有効性が主張されました。

ディベートの後のフリーディスカッションタイムではさらに議論が加速。

・プラスチックの使い勝手の良さや災害時の必要性を再認識する一方で、やはりゴミとして増えることは問題である
 ・焼却炉さえ整えば良いという反対側の主張に対しては、焼却炉も一生使えるわけではなく、数十年後には寿命が来て、利用できなくなり、、また別の場所へ移転しなければならなくなる。根本的な解決は、自分たちがゴミを出す量を減らす以外にない。
 ・製造者も、どのように廃棄するかまでのプロセスをデザインしなければならないのではないか

などの意見が挙がりました。

あえて普段、環境やサステナビリティをテーマに活動している賛成派のメンバーに、あえて反対派にまわってもらうことで、より客観的な観点から物事を捉えることができるようになったとの声が聞かれました。


STEP3:各自感じた課題意識と解決案を5W1Hで表現

同じ議論をしていても、それぞれの問題意識や課題に対するアプローチ方法は様々。最後に、今日の議論を踏まえ、各自で5W1Hに落とし込んでもらいました。ここでは参加者から挙がった実際のアイデアの一部を紹介します。





残念ながらここでタイムアップ。時間の関係で条例案化するところまではたどりつけませんでした。

条例づくりまでたどりつけなかったことは今回の最大の反省点であり、条例づくりという機会を参加いただいた皆さんに提供できなかったことは残念でした。「法律は変えることができる」というPnikaのメッセージがどれほど皆さんに伝えられたのかについては、疑問が残るところです。ただ、法律というキーワードで集まってくれる人が(本当に)いる!というのは、Pnikaの目指す世界にとっては心強かったです。

イベントにお越しくださった皆さん、誠にありがとうございました!

今後もこのようなイベントを重ねていきながら、実効的な取り組みにしていきたいと考えています。「法律×〇〇」でのイベント実施にご興味のある方はぜひお気軽にご連絡ください!

(隅屋輝佳)

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