【まとめ】イノベーターが活用出来る国の4つの「規制緩和制度」

2020年01月31日


◆この記事のポイント

  1. より大きいイノベーティブな事業であるほど、規制とぶつかりやすい
  2. 規制緩和の「正面玄関」といえる、企業がアプローチしやすい国の制度をご紹介

◆イノベーターこそ規制にぶつかりやすい?

世界を見渡せば先進的な技術やビジネスモデルがどんどん生まれている中、よく耳にするのが「でも、規制があって日本ではね…」というフレーズです。それに応えるように「いままで後進国で、ルールが未整備のところの方がイノベーションが起きやすい!」という声も聞こえてきます。

いわゆる「リープフロッグ現象」と呼ばれるものです。
(この問題の構造的な課題について「もっと、詳しく!」という方はこちらもチェック!)

この問題は簡単に言えば、既存のサービスやインフラやそれに対する規制が、技術やビジネスモデルの進化に対応しきれず、摩擦を生んでいることが原因です。

イノベーターは社会に新たなサービスを生み出す。
だからこそ、こういった壁にぶつかりやすいです。

一方、「規制緩和すればそれで良し!」でもありません。
「この新しいサービスによって、新たな問題が起きないか」「それでも、そのサービスを法的に認めるべきか。また、どのような形式であれば認めるべきか」ということについての精査も必要になってきます。

(そもそも規制の存在意義や意味を「もっと、詳しく!」という方はこちらもチェック!)

では、この規制は動かざる壁なのでしょうか?

実は、規制緩和へのアプローチは様々あります。
その中でも特に事業活動を行うイノベーターがアプローチがしやすい「正面玄関」とも言える国の「規制緩和制度」をご紹介します。

◆“規制を緩和する前”に、適法性を確かめるための制度

■法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)

これは、民間企業が、その事業活動に関係する具体的行為(例えば、あるキャンペーンをする際に景表法に引っかかっているか等)が特定の法令の規定の適用対象となるかどうか、あらかじめ当該規定を所管する行政機関に確認し、その行政機関が回答をしてくれるというものです。

つまり、「〇〇したら行政処分・刑罰うけますか?」と聞くための制度です。
窓口は、各省庁にあります。


◆イノベーターが活用しやすい規制緩和の「正面玄関」となる制度

さて、本題の規制緩和のために事業者がアプローチしやすい制度が下記の4つです。下記の図解に目を通しながら、説明を見ると全体像が分かるかと思います。


1.新技術等実証制度(プロジェクト型サンドボックス)
■どういう制度か?
革新的な技術、ビジネスモデルを対象に参加者や期間や地域を限定した技術やサービスの「実証」を行い、そこで得られたデータを基に規制緩和(法令改正、解釈の明確化、通達や指針の改正など)を推進していく制度。

■どういう人向きか?
「〇〇という技術やビジネスモデルが、▲▲という規制とぶつかっている or ぶつかる可能性があって、”実証”を通して規制緩和を国に促したい」という事業者向け。

■どのような事例があるか?
下記のURLで、各種事例が閲覧できます。
「どんな事業が、どういう規制に対して、どういうアプローチで実証したのか」が記載されています。

2)グレーゾーン解消制度
どういう制度か?
新しくはじめる事業において、現行規制が不明瞭な際に、予め現行規制の適用有無を国に確認出来る制度。

どういう人向きか?
「〇〇という”事業”を始めようと思うが、現行規制の▲▲という規制にぶつかっているかが、専門家に聞いてもはっきりしないので直接聞きたい」という事業者向け。

前述のノーアクションレター制度も似ていますが、対応を最初にしてくれるのが「その規制を持っている省庁」なのがノーアクションレター制度。グレーゾーン解消制度は「その事業を持っている省庁」なのが大きな違いです。

これは非常に重要なポイントで、基本的には「その規制を持っている省庁」は処罰を下す側にあるので慎重な回答をしやすいです。一方で「その事業を持っている省庁」は、その事業を推進する側にあるので回避策や省庁間の交渉といった味方になってくれる可能性があります。

どちらの制度も事例が紹介されているので、それをまず見てみると事業状況にあっているのはどっちの制度か分かりやすいかと思います。

◆どのような事例があるか?
下記のURLで、各種事例が閲覧できます。
"
グレーゾーン解消制度の活用実績|経産省WEBサイト"

3)新事業特例制度
どういう制度か?
新しくはじめる事業において、規制にぶつかっており、特例措置を設けて欲しい場合に、国に要請し、安全面等に配慮することを条件に「企業単位」で規制の特例措置をうけられる制度。
企業単位のため、国単位で規制を変えるよりスピーディに変えやすいと言われている。

■どういう人向け?
「〇〇という”事業”を始めようとすると、現行規制の▲▲という規制にぶつかるが、規制の本来趣旨(危険性等)である点に問題がない根拠もあるため、特例を認めてほしい」という事業者向け。

■どのような事例があるか?
下記のURLで、各種事例が閲覧できます。


4)国家戦略特区

◆どういう制度か?
「世界で一番ビジネスをしやすい環境づくり」を目的として、全国的に定められている法令、税制などの規制緩和や優遇を行なうことが可能な「経済特区」を定める制度。

◆どういう人向け?
「規制を緩和や優遇措置を行うことで、より多くの事業者を盛り上げたり、誘致したい」という自治体向け。また、そういったフィールドを求める事業者向け。

◆どのような事例があるか?
規制改革メニュー|成長戦略ポータルサイト

また、これらの制度を活用しながら、実際に日本全国に適用する規制を検討する際は「規制改革推進会議」等を経て審議されていくことになります。

◆どこに相談しにいったらいいか?

これらの制度を活用する際の相談窓口について現在(2020年1月31日時点)のお問合せ受付状況はこちらです。

プロジェクト型「規制のサンドボックス」のお問い合わせ先
窓口:新技術等社会実装推進チーム(規制のサンドボックス 政府一元的総合窓口)
直通:03-3581-0769

■グレーゾーン解消制度及び新事業特例制度のお問い合わせ先
窓口:経済産業省 経済産業政策局 産業創造課 新規事業創造推進室
直通:03-3501-1628 

■国家戦略特区のお問合せ先
国家戦略特区は、集中募集期間を設けて募集をしているため、時期を見計らって応募をする必要があります。2019年は10月7日~11月15日が募集期間(受付ページ)でした。

◆規制にぶつかったイノベーターが取れる選択肢は増えている

今回は、事業者がアプローチしやすい規制緩和に関する国の制度をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
ご紹介した制度が「入口」となり、法改正に進んだり、更に別の場で審議されたり、それぞれに合わせたステップに進んでいきます。

また、こうした規制緩和の入口には他にも「規制改革ホットライン」と呼ばれる窓口もあったりと、その手段は増えてきています。
一方、「実際、うちの場合はどんな制度で申請したらいいのか?」という悩みが出てくると思います。
(Pnikaでもそういったお悩みの無料相談をしておりますので気になる方はぜひお問合せ下さい!)

今後、Pnikaでは各制度の詳細な説明や事例、こういった事業者の規制緩和をサポートしてくれる団体のご紹介も引き続きしていきたいと思いますので、是非ウォッチしてもらえれば幸いです!

(執筆:深山 周作)

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◆参考・引用文献

  1. 規制のサンドボックス制度|成長戦略ポータルサイト
  2. グレーゾーン解消制度の活用実績|経産省WEBサイト
  3. 新事業特例制度の活用実績|経産省WEBサイト
  4. 規制の壁を越えて新事業創出 プロジェクト型「規制のサンドボックス」|経産省WEBサイト
  5. 規制改革|内閣府






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