台湾発の合意形成プロセスを学ぶワークショップ@霞ヶ関・鎌倉を開催(後編その2)〔イベント〕

後編その2では、Day2鎌倉、イベント後半のワークショップについてレポートします。 テーマは、「テレワーク/リモートワーク推進in鎌倉」。Day1同様、テーマオーナーである鎌倉市からのプロポーザルを受け、グループごとに、Step1で課題マインドマップを作成し、今回掘り下げるコアプロブレムとソリューションを選定、Step2でステークホルダーを整理し、それぞれのメリットデメリットをまとめ、Step3で各ステークホルダーがとりうるネクストアクションを書き出していくというワークショップです。

ワークショップのプロセスの詳細はこちらでも解説していますので併せてお読みください。

プロポーザル:鎌倉市役所の橋本怜子さんより「テレワーク/リモートワーク推進in鎌倉」(プレゼンテーションシート

鎌倉市は、2018年11月に「鎌倉テレワーク・ライフスタイル研究会」を発足しました。主に都内への通勤を減らし、鎌倉でテレワークを行うワークスタイルの普及、テレワークに関する情報発信や勉強会開催を行っています。

橋本さんは、「鎌倉市は、新しいワークスタイル、ライフスタイルの創造を目指す。観光地でもあるという特性を活かし、ワークとバケーションを組み合わせたワーケーションにもつなげていけたら。官民連携でやっていきたいがあまり前例がないため、正直なところ手探り状態でもある。良いアイデアがあれば採用していきたい」とコメントし、議論の前提となるポイントとして以下を共有。

・テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方。テレワークの種類としては、在宅勤務(自宅でICTを利用した働き方)、モバイルワーク(携帯電話やノートPCなどを活用し場所にとらわれない働き方)、サテライトオフィス勤務(勤務地以外のオフィススペースでICTなどを活用した働き方)の3つがある。

・鎌倉市の課題として、少子高齢化や人口減少の進行と合わせて、若年層の都心への通勤・通学をきっかけとした転出が多い(鎌倉は観光のイメージが強いが、財源としては小さく、住民税が大きいので人口減少は深刻な問題)。

・国としても「人口減少に伴う生産力の低下」、「地方の人口流出による地域経済の縮小」という社会的課題に対するアプローチとして、テレワークを推進している。

・鎌倉市の現状の施策としては、ビジネスサポートプランを用意しており、IT企業が市内にオフィスを開設する場合のリフォーム経費や賃料の補助、シェアオフィスを新設する場合のリフォーム経費の補助を行っている(現状、市内にシェアオフィスは15弱ほどあり、一部はプランを使用しているが、オフィスもまだまだ少ない)。

今回のワークショップの目的は、鎌倉市の施策をつくろうというものではなく、行政ができることも限られるなか、どうしたらマルチステークホルダーで、テレワークを活用した新しいワークスタイル、ライフスタイルの創造が進められるのかについて、考えること。特に、自分だったら何ができるのかという観点に留意して、ワークを進めていただきました。

ワークショップの様子とそれぞれのアイデアについて:

ここからは、それぞれのワークの様子と、各グループから出てきたアイデアについて共有します。



<グループ1>

拡大(Googleフォト)

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グループ1は、コアなプロブレムを、「雇用者と労働者の間の信頼関係の構築」、「セキュリティ確保、漏洩時の責任体制」に設定。テレワークでは時間給による働き方が難しいため、ここでは頭脳労働に限定し、成果報酬制への移行について議論しました。 「ネクストアクションとして、民間の実践を後押しするためにも、行政は広報機能、特に企業利益や社員のエンゲージメントが制度導入によりどう変化したかなどの統計データを整備していくこと」をあげました。

<グループ2>

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グループ2は、コアプロブレムを「通信インフラの脆弱性」、ソリューションを「通信インフラの圧倒的強化」に、フォーカス。 「ネクストアクションとして、行政は、「ビジョン発信」と「第一歩の施策」。例えば、市民の自宅に通信インフラを整備し、助成する代わりに開放してもらって、フリーWi-Fiスポットにする。市民は、環境が現在どれくらい脆弱なのかもわからないので、まず1日鎌倉市民全員でテレワークしてみる。どれくらい困るのか、どれくらい投資すればよいのか、実際にやってみなければわからない。企業は、社員が取り組めるよう制度を整備し、国は、ライフスタイル変革として全体を後押しする」。

<グループ3>

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グループ3は、「企業側のテレワーク導入に対する大きな懸念としては「社員はさぼるかもしれない」がある。管理職と社員、両方の不安を払拭する必要がある。今テレワークできている人というのは、ハイパフォーマー、いわゆるある種の治外法権で、自己管理ができる一部の人。実際の管理職でもプレーヤーでも、まず経験者にノウハウを展開してもらい、漠然として不安、やってみなきゃわからないところを伝えることが推進につながるのではないか。その上で残る問題は、鎌倉市でも、推進会を立ち上げているが、その場にどうやって人を集めるのかが悩ましい」。

<グループ4>

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グループ4は、大きな組織ほど導入が進んでいないのでは?という点から議論を展開。コアな課題を、「上司や周囲の人の理解の得づらさ」、「時間管理をベースとした給与体系」、ソリューションを「経験させる/メリットを知る」、「評価方法を変える」に設定しました。 「社長は200日間テレワークなど、無理やりにでもまず上司がテレワークする。人材の育成という意味では、メンバーの自己管理能力ももちろんありますが、管理職側の仕事をふる能力が問われるようになる点に注意が必要。チームというステークホルダーから考えると、ウェットなコミュニケーションが減るので、喫煙所的なコミュニティ、無理矢理コミュニケーションをとらざるをえない仕組みをどうつくるかは考えたい」。行政の大号令の具体的?なアイデアとしては、「新元号をテレワークに」。

<グループ5>

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グループ5は、コアなプロブレムに「田舎で女性が働ける場所が少ない」、ソシューリョンに「コワーキング×仕事のシステムをつくる」。 「スペースというハード面だけではなく、そこに行くと仕事がある。場所とコミュニティを一緒につくるというイメージ。ネクストアクションとしては、まず、仕事の供給者、意義を理解して仕事を切り出してもらう。プラットフォームの運営者は、経営をまわす仕組みを考える。働きたい女性は、仲間をつくり外に発信、家族の理解も重要。また女性だからこそできる得意技、マイクロジョブをつくる。経営者にとっても貴重な情報になるはず」。

ある意味?究極のテレワーカーでもあるオードリーさんからは、 「(情報管理という観点では)私が大臣になったとき、国家機密の管理についてどうするかの議論がありました。私はアクセスできるものは公開します。つまり、私がアクセスできるものは国家機密ではないということ。(この文脈では)テレワーキングは注目のイシューという以上に、新しい社会規範になる可能性がある」。

「(テレワーキング自体については)私の仕事はどこでもできると言うと、メディアは、オードリーは自宅で働いていると言いますが、実際は家にはいません。外にでることは重要。国内をまわったり、他の国を訪ねたりと、正しい方向に向けた議論をするために、直接的にアソシエーションを持つことが重要だと思う」 とのコメントも。

全体の議論を、realtimeboardでまとめてみると、こんな感じでしょうか?

<作成したrealtimeboardの一部>(上記のリンクからは全体が確認できます)

realtimeboardは、オンライン上のホワイトボードです。ログインすれば複数人での編集可能。こういった課題が抜けているのでは?解決策があるのでは?ということがあれば、ぜひ書き込んでみてください。

いかがでしたでしょうか。より自分らしく、働きたい場所で働けるテレワークは非常に魅力的なワークスタイルである一方で、それをベースにした社会に近づけるには、まだまだハードルがあります。 しかし今回のvTaiwan やPOnetworkを参考にしたプロセスを通じ、行政だけが注力するのではなく、マルチステークホルダーがそれぞれの立場で、それぞれのできることのアイデアを出し合い、良い意味での「共に企む仲間」になることで、ありたい地域の姿に近づいていく気がします。

イベントレポートとしてはここまでになりますが、立場を超えマルチステークホルダーで法律や規制を共にデザインする仕組みを社会に実装するために、Pnika はこれからも様々な試行錯誤を続けていきます。 この続きはCode for Japan の主催するソーシャルハックデー(隔月開催のワンデイハッカソン、次回は5月25日 12:00から!)でオープンに継続していく予定ですので、ぜひお気軽にお越しください。

(平尾久美子)